カフェの注文はいまだに慣れない。カフェに行く機会は高校生からあったはずなのに。
絶対何か忘れる。たとえば「カフェラテのレギュラーサイズ」とまでは言えても、ホットかアイスかを伝え忘れたり、アイスかホットか伝えられたと思ったらサイズを言い忘れてしまう。
ああ、難しい。
店によってレギュラーだのトールだの中だの言い方が変わるのも難しい。だから並んでいるときは、いつも全集中、脳内フル回転でオーダーのイメトレをしてしまう。
「期間限定の飲んじゃう?いや、頼んで飲んだあとに、やっぱりいつものを頼んでおけば良かったと思うんじゃない?あ、やっぱり新しいのにしちゃう?」なんて思っている間に自分の番。
優柔不断で後悔したくない気持ちが強い私は、結局いつものコーヒーを頼んで、次回の期間限定は必ず飲むぞと決意するのである(だいたいいつの間にか終わっているから飲めないんだけど)。
注文の仕方はその人の性格が出るものだ。
ある日、よく行くカフェでいつものコーヒーを頼んだ。
すると店員さんが「牛乳じゃなくてアーモンドミルクで割るのも美味しいですよ。後口がさっぱりします」と教えてくれた。
いつもの私なら「そのままで良いです」と伝えていただろう。でもその日は店員さんのアドバイスに従ってみることにした。
半ば疑いながら1口目のコーヒーを飲むと、自分が想像していた味をはるかに超えた美味しさだった。「牛乳をアーモンドミルクに変えるだけでこんなに味が変わるのか……!?」
それから私は何かとアーモンドミルクで頼むようにしている。店員さんがアドバイスしてくれなかったら、私は一生この美味しさに気づかなかったかもしれない。
いつもと同じコーヒーを頼むのは、確かに安心だ。知っている味だから外れはない。でもそれと同時に「知っていればよかった」という後悔も増えていくとも言える。
たまには新しいことに挑戦するのも大切だなと思った出来事だった。